Jun

羅生門のJunのネタバレレビュー・内容・結末

羅生門(1950年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

緊張感を持続させる異常なまでに長い間と、場面が切り替わる度に存在感を増す雨が印象的だ。検非違使が姿を現さないのも不気味で良い。
三者三様に証言が食い違う物語は、人のエゴイズムを浮き彫りにしているとも取れる。人は平気で嘘を吐くし、いつだって自分が正しいと信じ込む。観客は否が応でも誰しもが持つ人間の醜い面と向き合わされる。「人を信じることがまたできそうだ」と語った男の台詞と雨上がりの描写からは僅かな希望を見出すことができる。事件の真相が提示されていないが故に、繰り返し観たいと思ってしまう魔性的な魅力を持った傑作だ。
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