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羅生門のhebのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.0
多襄丸・真砂・武弘3人それぞれの話の後で、一部始終を見ていたと語る杣売りの視点で答え合わせをする様な構成。しかしそれすらも真実かどうかは分からない、なんとも複雑な後味が残ります。
とにかく登場人物のキャラ立ちが素晴らしくて、役者陣の活き活きとした演技にすっかり魅了されてしまいました。
まるで野生の猿の様な多襄丸の振る舞いや真砂の鬼気迫る啖呵、そして終盤の気高さの欠片も無い泥臭い男同士の真剣勝負。
通してどうしようもない人間の根源的な部分を暴き出す様な作りでありながら、それでも人の中の善良な心を信じたいと言って締めるラストに、何か願いに近いものも感じました。
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