わせ

羅生門のわせのレビュー・感想・評価

羅生門(1950年製作の映画)
4.0
十八にしてやっと黒澤映画デビュー。日本三大監督のうちのひとり、とは言われているけど、黒澤は他のふたりより頭ひとつふたつ抜きんでて有名だと思う。世界のクロサワとまで言われているし。でも、このカメラワーク、まるでひとの心の表と裏を表したかのようなコントラスト比の映像、観ている此方まで心臓が痛くなるくらいに滲み出る緊迫感。“世界のクロサワ”は決して過大評価なんかじゃなかった。最初から最後まで迫力が凄いのだ⋯ 本当に。特にカメラワーク。ここ数年で観た映画の中で一番にすごいかも。そして、京マチ子の存在感よ。彼女の出演している作品の幾つかは常に観賞していて、よい演技をするとは思っていたけれど、羅生門における京マチ子はあまりにもすごい。彼女が演じる真砂が、映画の中だけで存在している人物だと、どうしても思えない。たったひとつの映画に出てくるキャラクターとは思えないほど、嫌に人間味がある。当たり前にストーリーもよいし、これは確かに、日本を代表できる作品だったなあ。
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