emily

沈黙/ある沈黙のemilyのレビュー・感想・評価

沈黙/ある沈黙(2016年製作の映画)
3.4
 19歳のマリアンヌが連れてこられた閉鎖的な女子寮。そこではみなある秘密を共有している。

 長くて白い廊下、青いワンピースと交差する不穏な目線。妊婦のお腹をシャワー室を横にスライドさせて横並びに見せる神秘の美。白と青の陰湿な色彩の中にシーツの赤と世話係の赤いワンピースが不気味に浮かび上がる。閉鎖的な空気感、願いは叶わない、しかし芽生えた女の嵯峨は自分の理性を超えていく。時代背景と許されない状況、望まれない、望まないための自分勝手な行動、しかしその結末を迎えると一気に芽生える気持ちとの葛藤が、短い時間で淡々とした描写と色彩の中、陰湿な空気で見事に表現されている。長い白い廊下は建物の真ん中にあり、閉鎖的にみせるその行き場のない廊下の先にある未来。子供すぎる刹那が良い余韻として、その後を想像させるラストも幅を持たせてて陰湿な中に強さを見せてくれる。
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