Hideko

沈黙/ある沈黙のHidekoのレビュー・感想・評価

沈黙/ある沈黙(2016年製作の映画)
4.0
原題: Un grand silence

2020年 MyFFF “STAY HOME edition”にて鑑賞。
29分49秒 ショートフィルム。

男性教師の子を身籠ったマリアンヌ。裕福な家庭の娘ながら時代は1968年。周囲には肺炎と偽って子を産むだけの為に施設に入れられるが…。

出産経験の無い自分はマリアンヌの気持ちがどれだけ理解できたのか、分かりませんが男性目線でないことだけは確かかと。自分が産んだ子どもの顔も見せてもらえてなかったなんて驚きました。こっそりと授乳室に入り同室の、母子で生きていく決心をした(他に選択肢は無い)女性の手ほどきで自分が産んだ男の子をはじめて抱いた時のマリアンヌの表情。

妊娠した瞬間から母子なのだな、と改めて。その絆は誰が断ち切ってよいものでもないのです。

ラスト、マリアンヌの決意に満ちた表情が忘れられません。

邦題は『沈黙』原題には上述の通り”Grande” (英 big, tall, large, great)が付いています。『大いなる沈黙』『偉大なる沈黙』

2016年の本作。数々の「沈黙」を内包した作品であると思います。その中の1つ…時代は進めど、多くの面で解放されど、女性の苦難が無くなったわけではなく、厳しい現実に「大いなる、偉大なる」「沈黙」を強いられる女性の存在が未だ数多くあることは決して放置されていい問題ではない…。黙って耐え忍び生きている多くの女性たちが声を挙げられる日が来ることを祈るばかりです。ショートフィルムながらあまりの内容の濃さに圧倒されました。
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