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沈黙/ある沈黙のmaiのレビュー・感想・評価

沈黙/ある沈黙(2016年製作の映画)
3.9
これはMyFFFの中でも指折りのドラマ作品な気がします。
女の人を「母親」「女性」という二つの枠組みで切り取った作品のように思いました。
話の中心となる主人公はいますが、その主人公の周りにいる女性たちもまた主人公であるかのような存在感がありました。
女性だけの、しかも妊娠間近の女性の収容所的な場所。
彼女たちにはそれぞれバックグラウンドがあって、一般的な家庭のように産んで・育てて…ができない状況にあったりします。
主人公もそのうちの一人。
自分は愛されていると思っていたけれど、子どもは自分で育てることが出来ない。
自分の子どもを育てたい、でも出来ない。
その「一人の女性」と「母親」のはざまで思い悩む姿が印象的でした。
何と言っても、その姿を彼女に語らせないというのが良いんです。
彼女に親身になってくれる人も、彼女自身も「本当はこうしたいのに」という思うはあって、それをお互いに承知の上だけど、その思いを多くは語らない。その沈黙があまりにもリアルでした。

生命が生まれる、という生々しさに加えて、映像の白さが際立っていて…すごく独特な世界観でした。
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