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リチャード三世のTOTのレビュー・感想・評価

リチャード三世(2016年製作の映画)
3.8
豪胆で残忍な詭弁家リチャード三世をレイフ・ファインズが演じ、周囲の人が彼に惹きつけられ策略に嵌っていく様は、さながら今の世界の政治情勢を見るようで恐ろしくなる。
レスターでの遺骨発掘も組み込んで現代的な舞台装置とパワフルな演技が6世紀の隔たりを取っ払うようなリアリティ。
ただ、後半に向かうに従い、人格が破綻した言動が目立っていくリチャード三世にねじ伏せられていく女性たちの表現は救いがなく、弱々しすぎる印象。
アルメイダ劇場ってそんなに大きい箱ではないので、あの入れ替わり立ち替わりの登場人物の多さと後半の戦場シーンをどう表現するのかなと思ってたけど見たら納得、全体的に堅実な演出。
レイフ・ファインズはあの演技で3時間は本当にしんどいと思うけど、彼のパワーがファナティックに己の道を突き進むリチャード三世にぴったりだった。
あと、ヴァネッサ・レッドグレーヴの貫禄が素晴らしくかっこよくてびっくり。
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