きのこ

オン・ザ・ミルキー・ロードのきのこのレビュー・感想・評価

4.5
スイスアーミーマンを観るつもりで行ったのに、チケット売り場でこれ買ってたw
でもポスターの可愛さと、”オンザミルキーロード”というかわいい名前に惹かれて気になってはいたので、こっちでもいいかなって。
そんな感じであらすじとかも全く知らずに観たので、想像と違いすぎてびっくり。
戦争の中での愛の逃避行のお話だったとは…もっとほわほわと、わいわいと、楽しくてかわいいお話だと思ってたので。
だって、このポスターからは想像できないでしょ!?笑

正直、結構終盤の方まで訳がわからなくて、
よくわからないな〜早く終わらないかな〜やっぱりスイスアーミーマンでダニエル君の毛を拝むべきだったかな〜
なんて思いながら観てました。
いろいろ詰め込まれていて、恥ずかしながらわたしの馬鹿な頭では理解が追いつかなかったのです。

でもなんかね、終わった後じわじわくる。
戦争の悲惨さを、これまでに観たことのない感じで見せつけられたような映画だった。

でもですね、これ
寓話と、3つの実話を繋げて作ったお話ってことを冒頭で知って、わたしその実話の部分を知らないのでもう完全に全てがファンタジーだと思いながら観てたので
なに的外れな感想言ってるのこいつ?
的な感じになってると思いますがそこはスルーでお願いします!笑


いつ終わるかわからない激しい戦いのなかでも、のどかにいつもの暮らしをしている人や場所があって。
わいわい歌って踊って飲んで騒いで、好きな人と結婚するという夢や、いつか戦争が終わると信じてその後の平和な世界を想像したりと、楽しみを見つけながら生きている。

やっと戦争が終わって平和が訪れたと思ったのに、やっとお互いの気持ちが通じあったのに、戦争が生んだ過去の出来事から追われることで、平和なんて夢のまた夢になる。

コスタは結局ひとりになる。
花嫁の後を追って死のうとするときにおじいさんがかける言葉
“お前が死んだら誰が彼女を思い出すんだ”
だから生きろ、命を大切にしろ、ふたりぶん生きろ、と。
ごもっともな言葉だよ。
でもずっと思い続けながら、自分が天国に行って永遠に一緒にいられるまで生きるのは苦しいよ。
死にたくなるよ。泣くよ。

戦争中も、終戦しても
ずっと覚めない悪夢を見ているんだよねコスタは。
もう愛だけが生きる原動力なんだな。
だから逃避行も続けられたのよ、花嫁も同じ。
こんな意味のない世界で、唯一意味のあること…
ラストが本当によかった。
いつかコスタにそのときが来たら、争いなんかない世界で、花嫁とずっと幸せに暮らして欲しい。

当然だけど、結局戦争は苦しみと悲しみと憎しみ以外何も生まない。
誰もがわかってるのに、どうしてなくならないんだろうね。

たくさんの動物と壮大な自然がとても印象的だった。
戦争だからって動物を見捨てないコスタの優しさも、人間性が現れていてよかった。
ヤギはかわいそうだったけど…
逃避行で自然や動物と共存したり、スローモーションになるシーンの見せ方が面白くて、特に滝のシーンはとても美しくて見入ったな。
このスローモーションの部分だけは、悪夢じゃなくて美しい夢なんだと思う。

というか、このタイトル。
いいね。
コスタ最高。愛してる。


聞いたことある監督だと思ったら、アンダーグラウンドの監督だったのね…
結局アンダーグラウンド観れなかったから…観たいな(;_;)
そしたらまた違った感想が出てきそう。
きのこ

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