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ウーナ 13歳の欲動のmのレビュー・感想・評価

ウーナ 13歳の欲動(2016年製作の映画)
4.7
結局彼女が何をしたかったのかが分からないという感想があったが、彼女は自分を解放する為に確かめに行ったのだろう、今も自分を苦しめ続ける過去が、幼い頃の無知と錯覚故に巻き込まれた「犯罪」だったのか、それとも厄介な事に本当の「愛」だったのか。そして彼に法的にではない意味で、自分に対してケジメをつけて欲しかったのだと思う。
過去にケジメをつけに来た彼女も再会に怯む彼もこの映画自体も、「罪」か「愛」かの危うい境界線上を揺らぎ続ける。

刹那の快楽を享受しながらも同時に自分を痛めつけているかのようで、痛々しく切ない女性の役に、ルーニー・マーラの個性は見事にハマった。眼と身体に脆さと怒りと微かな情を漲らせていて素晴らしい。
演じるのにかなりの慎重さを要求される役柄に挑んだベン・メンデルソーンも決して下品にならずにどうしようもない男の哀愁を滲ませていて良い。あとこの人、やっぱりセクシーですね。
脇で翻弄されるリズ・アーメドも良い味。幼い頃のウーナを演じた子はいつか大成するだろう。

最初と終盤の対話の舞台になる従業員が動き回る倉庫内のガラス張りの休憩室(聴覚的にはある程度隔離されているが視覚的には筒抜けというのが良い)が印象的で、恐らく基の戯曲ではここが主な舞台になっていたのではないだろうか。

過去と現在を行き来しながら女と男の感情の行く末を見詰める静かなタッチが気に入った。どうにもならないグレーな結末も。
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