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トトとふたりの姉の小のレビュー・感想・評価

トトとふたりの姉(2014年製作の映画)
4.3
ルーマニアの首都・ブカレスト郊外のスラム街。10歳のトト、14歳のアンドレア、17歳のアナは、3人だけでアパートに暮らしている。麻薬売買の罪で母親は服役中。父親は顔すら知らない。水道もコンロもない3人の部屋は、不良少年のたまり場となり…。

仮釈放の審査を受ける母、注射器で麻薬を打つ若者、ドアをぶち壊しガサ入れする警察、裁判にかけられるアナ…。フィクションの世界で見慣れた光景。しかし現実には、まずお目にかかることのなさそうな光景が次々と映し出される。

過酷な環境の中で、ブレイクダンスに目覚め、その才能を開花させていくトト。フィクションの物語なら、トトのシンデレラストーリーになるのかもれしないけれど、これは現実。

麻薬をやめると誓ったアナのその後。「人生は戦いだ」なんて人から言われなくても身をもって知り尽くしているアンドレアの胸中。刑期を終えた母と再会したトトが、母に促され発した一言。ありのままの現実に言葉を失う。

絶望と希望、弱さと強さ、厳しさと優しさ…。このドキュメンタリーには人間のありのままの姿が映し出されている。だから、子どもが選ぶ大人がどういうものかが、とてもリアルに伝わってくる。

●物語(50%×4.0):2.00
・個々のファクツがドラマチック。ラストは個人的には好きだけれど、やや物足りなくもあるかも。

●演技、演出(30%×5.0):1.50
・監督から預かったアンドレアのカメラが数多くの奇跡の映像を生む。トトと彼女の関係にジーンとする。

●映像、音、音楽(20%×4.0):0.80
・光と影の使い方、構図もドラマのよう。
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