阿部サダヲがものすごく良かった。あの不潔で粗野な陣治が、後半に行くにつれて気味の悪さを増していく。そして最後は衝撃の事実。それをあんなふうに演じきれるなんて。ますますファンになった。
陣治が際立つのは、蒼井優のダメ女っぷりと、残り二人の最悪な男ども(松坂桃李と竹野内豊)との対比のおかげもあるだろう。
陣治の思いが伝わって来て、はからずも涙が出て来た。あれを愛と呼ぶかどうか、についてだが、愛の定義はとても難しいけど、大事な人のためにしてあげたい事をせずにいられないのも一つの愛だと思う。何をしてあげるかが、人によって異なるのだが。陣治の愛の形があのような物だった、という事なんだろう。