もりいゆうた

彼女がその名を知らない鳥たちのもりいゆうたのレビュー・感想・評価

4.3
誰一人共感できなかったのに、なぜかすごく感情を揺さぶられてしまった。前半はそうでもなかったのに、半分過ぎたあたりからグイグイこの物語の世界に入り込んでしまっていて、心を掴まれた、というより、心を揺さぶられた、という感じ。

そして、阿部サダヲと蒼井優と松坂桃李の演技が上手いこと。普段、役者さんの演技の上手さにほとんど目がいかないんだけど(演じたことがないので上手いかどうかがわからないため)、これは本当に上手いと思わされた。

十和子が陣治のラストの行動を受けて、初めて本当の(究極で歪な)愛を知り、これからは強く生きてほしいと願ったよ。

見終えてすごく苦しくなってしまって、全体として面白いのかどうかよくわからない。ただ、感情をすごく揺さぶられたという点は間違いないので、スコア高めにつけた。

映画は「感情マシン」と言われたりするが、感情を揺さぶられるために、僕たちは映画を観に行く。感情的体験が全てで、映画は「人間の感情」を売っている。感情的体験を綺麗に見繕って販売しているのが映画だ。

なんでこんなに心を掻き乱されたのかうまく言語化できてないから(具体的に言うと、共感してないのに心を動かされた理由がわからないとか)、もう一度見てみようかなぁー。