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いつまた、君と 何日君再来(ホーリージュンザイライ)のtheocatsのネタバレレビュー・内容・結末

2.0

このレビューはネタバレを含みます

ネタバレ
深い悲しみを知らない若い監督の戦後情緒劇

エンドロールになぜか企画:向井理とあり、また監督の経歴年齢を知りたいことも重なり、視聴後に調べてみたら主演:向井理の祖母の手記を映画化したとのこと。そして監督は戦後混乱期など無関係の若い世代。なるほどね。



混乱の戦後、上海から命からがら帰国してきた向井理&尾野真知子夫婦。
妻の愛媛実家での農家暮らしは夫には辛く、遠く関東茨城を経て福島で一旦は落ち着くも、そこでも商売は軌道に乗りきれず挫折。
戦前お世話になった人を頼り大阪で仕事を世話してもらうも、ついに夫は病気に倒れ命尽きる。
残された妻と子供はどうにか生きていこうと必死。一番末の娘を実家に預け、妻と息子二人は大阪で生きていくことになる・・・


全篇重苦しいということはないが、晴れやかさのないどうにも冴えない空気感。
それは夫の煮え切らない個性が大きく影響。思い付きで商売を始めても徹底性に欠け、酒に逃げてしまうような性質。(芸術家肌だったからそれも致し方なしか)

その酒を断って工場管理を任せられるチャンスを得るが、台風と自身の重病で若くして落命。
そんな夫を静かにささえたヒロインを尾野真知子はまずまずの演技で見せてくれた。しかし夫役:向井理はまずイケメン過ぎたし、イメージ的にもマッチしていたとは言えない。
実の祖母手記の映画化なのでいわば祖父役は彼以外のキャストは考えられなかったのかもしれないが・・・

何より一番のミスポイントは監督が若く、戦後の混乱期など肌感覚的にわかろうはずもなく、想像と他の映画作品などからの学習でどうにか再現しようとしていたのだろうなと容易に想像できた点。(これは他の若手監督が作る戦争・戦後映画に共通の特徴)
向井他への演技指導も付け焼刃的(向井自身の独自演技かもしれない)。結果的に深みのない表層的で平板な情緒劇に終始してしまった。
そんな印象ですね。


総評二つ星


現代場面でのあの若者役は向井理ということなのかな?であればそこは本人が演じ、過去の祖父役はやはり別の俳優の方が良かったような気もするが、もう済んだこと。

022008
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