「私を強姦した男性の名前を、すべて実名で出すこと」
出版にあたり、ヒロインが出した条件。
この作品は実話を元に制作されている。
15歳で集団レイプの被害者になり、被害者の父親のヤクザとの援交。
お金を貯め、成績優秀で東京の大学に進学とともに全身美容整形し、「過去」と他人に。
風俗嬢〜資産家の妻〜看護師に。
雪村葉子さんの半生を描いている。
この人の15歳には救いがない。
閉塞的な秋田の片田舎で輪姦され、帰宅した彼女に浴びせられる家族からの「不良娘」の言葉と母親のビンタ。
元は母親が原因で起きたようなことなのに。
察した女友達からの虐め。
その境遇の中で勉強を頑張り、男を利用しお金を貯め、生まれ変わろうと必死に生きる。
上京したヒロインに幸せが訪れたかと思いきや、またも悲劇。
このあたりの夫役の佐野史郎の怪演は嵌り役。
いい人のようで気持ち悪い男。
そしてお金持ちと結婚してからの実母からの金の無心。
この母親はクソで鬼。
でも
ヒロインの聡明さで運命を変えて行こうとするラストに希望があります。
ただの悲しいだけの作品ではなく、数奇とも言える女性の物語。
父親ほど年の違う、援交相手の心の拠り所になる所など、人の気持ちの揺れ幅が上手く表現されている。
ヒロインの少女時代を“アンダーユアベッド”の西川可奈子が熱演している。
「あの人たち、馬鹿みたい」
気持ちが入ったセリフの力強さ。
運命に負けない。
大人になった雪村さんには、やはり少し変わった性(さが)があるようだ。
さらけ出し、自らと世の中に向き合う。
実在する女性のヒューマンドラマ。
※監督と心理学者の植木理恵さんのティーチィン付上映で鑑賞。
被害者の家族は酷いが、人間的にかわいそうな奴だとの事。
加害者ともに被害者より個々では、ずっと弱い心理行動。