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エルミタージュ美術館 美を守る宮殿のメルのレビュー・感想・評価

3.5
ロシアの芸術の都サンクト=ペテルブルク。
ネヴァ川沿いの広大な敷地に静かに佇む巨大なエルミタージュ美術館。
( 小エルミタージュ、旧エルミタージュ、新エルミタージュ、エルミタージュ劇場、冬宮殿の5つの建物が一つに連なっている)

エルミタージュとはフランス語で「隠れ家」という意味で、エカテリーナ2世が離宮として住んでいたのが始まり。
歴代のロシア皇帝の住居でもあったので、美術館でもありながら宮殿でもあるというのが特徴のひとつでしょう。

今作は、第一次世界大戦、ロシア革命、スターリン政権、独ソ戦争などの時代の波の中で美術品を守る為に様々な苦労があった事を館長や美術館員達が語っている。

エルミタージュ展は日本でも何回か開催されていて、その度にTVで特番が組まれる。
今回も六本木ヒルズの森アーツギャラリーで開かれているのでそれに合わせての上映かと思われる。

スターリン政権では美術館員も受難の時代で、収容所に送られ強制労働で亡くなった人も多く居たり、財政難の為かなりの数の絵画をイギリスに買って貰ったらしいけど、ん〜想像できる。

しかし、2000年代に入ってからも200点の美術品が盗まれたなどは初めて知った。
盗難について館長は詳しくは語らなかったけれど、犯人は誰だったのか気になるところ。

年配の女性職員の言葉が印象に残っている。
「政治的な理由で名画が国から国へ渡って行くのは仕方のないこと。絵画がどの国ものでも一向に構わない。一番いけないのは名画が展示されず、人の目に触れられない事だ」
スターリン政権や戦時中への苦言だと思われるけど、芸術は人類の宝で皆んなで鑑賞するべきだという力強い言葉だと思う。
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