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この子を残してのmhのレビュー・感想・評価

この子を残して(1983年製作の映画)
5.0
長崎原爆の犠牲になった医学博士、永井隆の半生記を木下惠介が手掛けている。
丁寧な物語運びと、適切な省略で、映画の中にどっぷりのめりこめる。
この手の映画は、被災者を正当化する勢い余って、善人&かわいそうアピール強めになることが多いと思うんですけど、そういった演出は排除してある。なんなら省略してしまうのだった。(お骨のくだりがやばかった)
木下惠介はすごい。欧米でほとんど知られてないのが意味わからん。
全体として反戦スタンスであることには間違いないんだけど、反米主義っぽさも見え隠れしていた。
作中のBGMがテレビのホームドラマみたいでチープだなぁと思ってググると、音楽担当の木下忠司さんは木下惠介の弟さんなんですね。だったらしょうがない。
とはいえ、ラストに流れる「にんげんをかえせ」「水ヲ下サイ」を盛り込んだ反原水爆ソングが直接的すぎて引いてしまった。「いきなり左やん!」と思ってしまったのだった。
ラスト手前になって、ようやくその瞬間を映像にする(ここすごい特撮)という構成に唸った直後ののことなので、余計になんかもったいなかった。
戦争映画の邦画部門のベストテンに余裕で入ってきた。いやーすごかった。面白かった。
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