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テオレマのbennoのレビュー・感想・評価

テオレマ(1968年製作の映画)
4.2
パゾリーニ監督作品…初鑑賞です…。

面白かった!! …また、2回観ました!! これはコメディ?? 変態コメディ??

冒頭、階級闘争に関するインタビュー…思想的な映画かと思いきや…蓋を開ければ艶笑譚…実に神話的な寓意のストーリーです…。

ミラノのあるブルジョワ一家…ある日突然ひとりの美しい青年"訪問者"(visitor)(テレンス・スタンプ)が現れます…。

そしてそのまま大邸宅に居候…それまで平穏に暮らしていた家族は彼の出現と共に均衡を乱し崩壊していきます…。

物質社会を揶揄した…明らかに"キリストの救済"のような話…訪問者の到来と旅立ちと共に現れる、手をはためかせた郵便配達員も恐らく天使のメタファーかな…。

しかし、このキリスト,ちょっと様子がおかしい…。
あくまでもキリスト的…超自然的な存在(キリストならば某団体から非難を浴びそう)…そしてそれは監督自身の想いでもあるよう…。

女中、息子、妻、娘、そして主人….宗教的なモチーフに見せながらのあからさまな"性"(股間のショット多すぎ)と美しいブルーの瞳で家族ひとりひとりを救済…。

フランシス・ベーコンの画集を見つめる息子と訪問者…意味深…あれ!! 息子のパンツに穴??

訪問者の脱ぎ捨てた衣服にエロティシズムを感じる妻…自らも服を脱ぎ捨て恍惚感に溺れます…お気に入りデルフィーヌ・セイリグに似ているシルヴァーナ・マンガーノ…肩越しからの首のラインが美麗…大好き細眉メイクもカッコいい…。

また、ミア・ゴス系(!?)の娘役アンヌはどこかで…?? そう!! ブレッソンの『バルタザールよどこへ行く』の少女…ってことはゴダールのex-ワイフ…登場人物もそれぞれがとても魅力的…。

物語は2部構成の様相…訪問者の到来と共にブルジョワジーの事物の秩序は乱され…本来あるべき姿へと目覚めていきます…そして彼の旅立ちにより自我を失い…それと同時にその変貌の極みは恐ろしいほどの虚無感…。

ひとり聖女と化した女中は子供の皮膚病を治したり…空中浮遊…とても神話的…。

何より効果的な音楽はモーツァルトの♪『レクイエム』、エンニオ・モリコーネの不協和音は脳内から聞こえるような精神の崩壊を見事に表現…ぽく無いところも流石名匠…また、OPと作中で1回流れるテッド・カーソンの♪『Tears for Dolphin』は沁みます…♬


ラスト…衝撃的な父親の姿が心に刻まれます…が、突然バッサリ!! …この終わり方ⳣ₹❤︎”



thanks to ; なおしゃま ࿐⋆*₊✼̥୭
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