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テオレマののんchanのレビュー・感想・評価

テオレマ(1968年製作の映画)
4.0
ピエル・パオロ・パゾリーニ監督初鑑賞。
ベルナルド・ベルトルッチ監督の師匠的存在?でもあり、共産主義に傾倒した思想家でもあった。

『テオレマ』(定理・定式)というタイトルはまるで対義語?と思えるような定理からの反逆なのか?


あるブルジョワ一家に突然1人の《訪問者》(テレンス・スタンプ)がやって来て暫く滞在する。
その若く美しい男の出現により、夫、妻、娘、息子、そして家政婦までもの全員が崩壊の一途を辿ることになる。

訪問者のあまりにも美しいブルーの瞳に見つめられると、性的な魅力と神聖なる不可解さが伴っている感じがする。
身体が触れ、重なると、まるで聖人からの啓示なのか?はたまた悪魔の囁きなのか?今までの自分の殻から脱皮するかのように変化していく。

工場経営者の夫は同性愛に目覚め、工場を労働者に譲り、駅の人混みの中で真っ裸になり、挙句には火山へ向かう...

妻は訪問者と肉体関係を持ったことで性欲に目覚め、街に繰り出しては若い男を漁る日々。

娘は訪問者が去ったショックで意識不明に。

息子は芸術家を目指していたが、芸術家の権威を否定していく。

家政婦は帰省し食べ物も口にせず、まるで聖人のように、子供に触れもせずに皮膚病を治したり、空に凧のように身体が浮く。挙句に涙が止まらずそのまま土に自ら埋まり、涙で泉を湧かすと...

台詞は少なく変わった話が続くが、次は何が起きるのかと目が離せない。
当時の資本主義社会の批判や共産主義側も揶揄しているかのようにも感じ取られる。

《訪問者》はキリストのように人生観を変えてしまう《革命者》だったのかな?

テレンス・スタンプの美貌、妖しい雰囲気がピタッとハマって、神なのか?悪魔なのか?捉えきれない。不思議な映像の雰囲気に惹き込まれてしまった。素敵過ぎる。

音楽はエンニオ・モリコーネだが、言われないと分からない、特徴は特になかった気がした。

初めてのパゾリーニ、訳わからないままただただ圧倒された。



※mimicotちゃん、ありがとう💕
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