けーな

劇場版 嘆きの王冠~ホロウ・クラウン~/リチャード三世のけーなのレビュー・感想・評価

4.0
いよいよ、このホロウ・クラウンシリーズの最終話。

英国史上最も残虐と言われるリチャード3世が主人公。演じるのは、ベネディクト・カンバーバッチ。

驚くべきことに、カンバーバッチは、リチャード3世と血縁関係にあるらしい。16親等離れたハトコだとか。リチャード3世を演じるのに、こんなぴったりな俳優は、他にはいないだろう。

人間の血が通っていない鬼畜と言われるリチャード3世は、自分の王座を守るために、罪のない兄2人や、幼い甥っ子達を、一方的に邪魔だと考えて殺害する。ずっと支えてくれた信頼できる臣下の者でさえも、一瞬のことで、疑いを抱いて殺害するし。実の母親でさえも、彼の存在を怨んでいた。その母親役は、大御所デンチ様。リチャードを孕んだ自分の子宮を恨む台詞を言い放つところが、今作の見どころの一つ。いかにもシェイクスピアらしい台詞回しだった。

リチャード3世は、見た目も、せむし男で、醜悪だったと言われていた。そんな彼を演じるカンバーバッチは、迫力ある演技で見事だったけど、カンバーバッチが演じるから、なんだか憎みきれず、お茶目に見えてしまったのは、私だけか⁈

ラストには、暴君リチャード3世を死に追いやり、英国の内乱(薔薇戦争)を終結させたヘンリー・テューダーが、ヘンリー7世として即位する。英国で、戦いによって王の座を得た最後の王だ。

実際にも、穏健な性格だったと言われるヘンリー7世の登場に、とても心が温かくなった。ヘンリー7世を演じるのは、ルーク・トレッダウェイ。「ボブという名の猫」の時には、カッコいい人だとは、全然思わなかったけど、今作では、役柄からか、めちゃくちゃカッコよく見えた。

以前、「リチャード3世」を読んだ時には、人間関係が、よく分からなくて、入り込めなかったのだけれど、この映画を観て、ようやく誰が誰なのか、分かって、面白くなった。

今作は、シェイクスピアによって書かれたものであって、史実とは異なる可能性もあるのだそうだ。リチャード3世は、ほんとは、悪い人じゃなかったんじゃないかっていう話の、サリー・ホーキンス主演『ロストキング 500年越しの運命』を、とても観たくてならない。

シェイクスピアが書いた英国王を扱った映画は、まだ他にもあるので、登場人物の人間関係を忘れないうちに、観ないといけないな。

この映画の話とは別だけど、長い戦いが終結して、穏健なヘンリー7世が統治して、やれやれと思ったけど、ヘンリー7世の跡を継ぐのは、息子のヘンリー8世で、彼は、6度の結婚歴があり、英国史上最も癖のある人物と言われる人。ヘンリー8世の映画は、いくつか観たことがあるので、そこに繋がるのかと思うと、非常に面白い。

今作の薔薇戦争の間の、奥方側を描いたドラマがあると知った。「ホワイト・クイーン 白薔薇の女王」 これも、観たい。
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