べいし

メアリーの総てのべいしのネタバレレビュー・内容・結末

メアリーの総て(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

16歳の理想に燃える少女が自立したひとりの女性になるまでを描いた叙情的作品。
電撃的な運命の恋に落ちて駆け落ちしたメアリーの私生活は失意と悲哀に満ちていて、悲しむ隙すら彼女に与えてはくれない。クズ夫に振り回され、子を亡くし、男の醜態を身をもって実感していくメアリーだが、その絶望が彼女を強くしていく。

最後にメアリーが言う「後悔してないわ」に関しても、夫との愛を再確認したのではなく、「(今の自分を形成した自分の今までの選択を)後悔してないわ」という自立の決意なのが見て取れて沁みる。

文学者が主人公ということで、適宜入る私小説のようなナレーションも、退廃的で美しい映像の世界観をうまく増強している。
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