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メアリーの総てのbutasuのレビュー・感想・評価

メアリーの総て(2017年製作の映画)
2.5
つまらなくはないが、色々と引っかかってしまい素直に楽しめなかった。

大見得を切って妻子持ちの男と駆け落ちしたのは自分なのに、その後は映画が終わるまでずっと被害者ヅラ。「クズ男のせいで人生がめちゃくちゃになったけど、それをバネにして成功したアタシ」を見せられるだけ。終盤で男が言う「君にはこの不幸の責任はないのか!?」に対する「もちろんあるわ、あなたを信じた責任がね!」という回答がまさに他責性のみで生きている"女"という感じでゲンナリ。散々この男について行って甘い汁を吸わせてもらったのは誰だよ。離れるタイミングなんていくらでもあったと思うが。時代的に女は一人では生きていけないとか言う人もいるのだろうが、しっかり頭を下げればあの父親なら許して家に迎え入れてくれたと思うし、それこそ作家になりたいなら必死で頑張れよ。

あと主人公の駆け落ちにノコノコついて来る妹もウザすぎた。「男に弄ばれる女性の悲劇」を描きたかったのだろうが、あまりにこの女が愚かで、とても同情する気にはなれない。

主人公があの名作フランケンシュタインを書き上げた、というところを落とし所にするなら、もうちょっと全編をフランケンシュタインと絡めてほしかった。あまりに急で唐突。彼女の執筆の過程をもっとしっかりと描いてくれれば面白くなったのに。しかも実際には執筆にかなり夫が協力していたらしく(加筆修正や出版社探しまで!)、フェミニズム映画にしたいがために何もかもを台無しにしてしまっている典型だと思う。最近の映画はこんなのばっかり。
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