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メアリーの総てのamyのネタバレレビュー・内容・結末

メアリーの総て(2017年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

メアリーが温かい家庭を持つことは叶わず、憧れ、求める姿は、怪物がドラセー一家に向ける姿と重なって見えた。(スコットランドでの生活、そしてシェリーと結婚することで家庭の温かさを知るも、その幸せは長くは続かない...)そして 「幸福はいたるところに見えるのに、自分ひとり閉めだされて、どうにもできない」苦しみを、彼女の人生からも感じ取ることができる。

怪物(メアリー)は愛されたかったけれど、フランケンシュタイン(シェリー)に期待することで振り回され、結果不幸になる。フランケンシュタインは怪物の孤独さに同情し、女の怪物を造ろうとするも、完成直前にそれをやめる。これはある意味殺人的行為であり、シェリーがまともな職に就かず、子育てに十分なお金を与えなかったことで、子どもが亡くなってしまう伝記的事実に重なっているように思えた。だだ、怪物も単なる被害者ではなく、怪物はフランケンシュタインの身近にいる人物を排除していく。これはメアリーがシェリーと結婚することで、シェリーは家名に泥を塗ったと親に勘定され、結婚していた妻は自殺してしまうことと重なる。

当時の男女間の自由には大きな差がある。駆け落ちという自由恋愛で困るのは、出産を伴い、養ってもらう必要がある女性であり、つまり逃げられない女性にとって、自由恋愛は決して自由なんかじゃない。自由恋愛を謳い、シェリーの妻と子供から夫、そして父を奪ったメアリーも、結局自分には彼しかいないと発言するところに矛盾がある。けれど、当時男性に従順でいることが求められ、結婚や出産が女性の幸せとされた時代で、自分を、自分だけを見てもらえないということが、彼女達を苦しめ、結果怪物にならざるを得なかったんだろうな。まさに「自分は優しく善良だった。みじめさがおれを鬼にした」
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