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メアリーの総てのbennoのレビュー・感想・評価

メアリーの総て(2017年製作の映画)
3.7
先日鑑賞したヨルゴス監督の《哀れなるものたち》でフランケンシュタインが気になり今作を鑑賞…。

《フランケンシュタイン》は誰もが知るところの名作ですが…作者をご存じですか?? …( ꈍ꒳ꈍ)

作者はメアリー・シェリー…当時まだ18歳の若き女性…今作は《フランケンシュタイン》誕生までの軌跡です…。



父のウィリアム・ゴドウィンは政治学者、母は女性人権拡張論者…つまりフェミニストの先駆者です…。

そう!! 《哀れなるものたち》でのウィレム・デフォーの役名がメアリーの父親の名前…そして母親同様に自立、自由を求めたメアリーは主人公のベラに少し似ているよう…。

女性の地位や権利がまだ低かった19世紀英国…。

小説家になることを夢見るメアリー(エル・ファニング)は《異端の天才》と噂される詩人パーシー・シェリーと出逢い瞬く間に恋に落ちます…。

しかし彼には妻子がいて自由恋愛主義を標榜…そんな夢見る詩人に若きメアリーは魅せられ、駆け落ちすることに…。

愛と放蕩の日々は束の間…案の定、厳しい現実と直面…孤独、裏切り、絶望、悲しみ…。

全編を通して詩の朗読が散りばめられ…心の変容を切ないながらも美しく滔々と語ります…。


彼らは悪名高き詩人バイロン卿のお屋敷に身を寄せ、貴族ならではの退廃的な日々を過ごすことになります…。

深い悲しみと喪失に打ちひしがれ…メアリーの中に何かが生まれようとしていました…。


  〜〜〜⚠︎以下ネタバレ含みます⚠︎〜〜〜












フランケンシュタインの怪物とは真のメアリーの実像だったに違いありません…。


“Wanting for my ‘happily ever after’, I lowered my defenses forgetting the first lesson I was taught: that I was brought into this world to be abandoned. That I am irrevocably alone.”

幸せを求めて無防備になり過ぎ…
教訓を忘れていた…
私は孤独を知る為に、この世に生まれたのだ…。



フランケンシュタインの怪物は人間の欲望や身勝手さが生み出したもの…彼に寄り添って愛を育めたら、そんな怪物は誕生しなかったのに…。

メアリーは出来上がった原稿を持って出版社を回りますが…当時は女性が作家になることは異端視されていました…その頃の女性作家の本は作者不明や男性のペンネームが多いようです…。

最終的に作者が夫のパーシー・シェリーという条件で出版が認められました…。

今までクズだと思っていたパーシーの出版記念会でのスピーチはちょっと見直します…( ᵒ̴̷͈‪ᯅᵒ̴̶̷͈)ンエ…ს

確かにクズはクズですが…パーシーの存在がこの怪物を生み出し、創作へのモチベーションを与えたのです…。

つまりフランケンシュタインは……??

また、厳しくも遠くからメアリーを信じて見守る父親ゴドウィンの存在が素晴らしかったです…ෆ*
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