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インビジブル・ゲスト 悪魔の証明のSSDDのレビュー・感想・評価

3.7
■概要
山間にある大きなホテルの一室で実業家の男が不倫相手の殺害の容疑者として逮捕される。男は殺害を否定、何者かに襲われて気を失っている間に不倫相手の女性は殺害されたという。部屋は密室、死体の付近には金が散乱、部屋を出たものを見たものはいない、部屋から出た形跡も見られない…。一体誰が何の目的でどのように現れ、消えたのか…。

■感想(ネタバレなし)
"ロストボディ"、"嵐の中で"、"神が描くは曲線で"のいずれも好きな作品を手がけた監督のオリオル・パウロ氏の脚本・監督作品。

重厚なサスペンスミステリーで、容疑者の弁護側からの視点で事実を聞き出し、供述を考えるというプロットで進行する。

まずはシャイニングよろしく雪の中に佇む巨大ホテルから映し出され、重々しい雰囲気で映像美と本作の期待度を煽って始まる。この時点で映画の期待度は高まる。

次々と紡がれる真実と、その話を視点を変えて主体となる人物を替えることで見方が変化するという非常に論理的な作風に引き込まれていく。

ちょっと今回のは大袈裟というか、それは無理がないかと気になる点が残るため、他作品よりも楽しみきれなかったが、緻密な会話の駆け引きを楽しめた。














■感想(ネタバレあり)
・増える死体
そもそも殺人犯が他にいる場合の殺害動機や目的が必要になる。
恨んでいる人間…それは事故死した青年を隠蔽したため、その両親ということになる。
ひとつの事件ではなく、複雑に二つの事件を絡めていくのが面白い。

・有能すぎる両親
事故にあったとわかっていれば、不倫相手の女性の挙動を疑ったり、ナンバーを覚えることはあるだろう。
だが、チラッと目にしたライター、シートの位置を直したりしたなど細かな挙動をそこまで覚えるものだろうか。

また証言のスペシャリストに化けると言っても素人が真相を知っていたとしても証言の突き崩すための三つの質問など、ペラペラと饒舌に話せるのだろうか。
また弁護士に電話をした際にバレなかったりするのは盗聴して徹底的に調べたからなのだろうか。

CIAも真っ青になるレベルの諜報活動能力がふたりに存在しているとしか思えない。

・総評
初めは事故の被害者で保守に走った死体遺棄の男から、二人の殺人犯に変化していき冷酷な男になっていく様は素晴らしい。
ただ、死体の場所を安直に教えたり、青年が死んでいない状態だったなど言うのは間抜けすぎる。

死体がなければ話を立証できないと言われても死体の場所を明かすのだろうか。
わからないとはぐらかすのではないだろうか。また青年は瀕死だったことも気づかなかったとすればいいので、わざわざ殺害したことを言う必要もなかった。

など諸々気になる点が多いので、少し他作品よりも楽しめなかった感はあります。
しかしよくできたスリラーで冷徹非情な男を追い詰めていくストーリーは楽しめました。
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