爆裂BOX

クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的の爆裂BOXのレビュー・感想・評価

3.9
スペインの異才アレックス・デ・ラ・イグレシア監督によるシュチエーション・スリラーです。
いつものように常連客などで賑わうマドリードの交差点にあるバルで、店から出た客が突然射殺され、更に助けようと外に出たもう一人の客も射殺され店内に残された客はパニックに陥るというストーリーです。
冒頭から主要登場人物を雑踏の中で交錯させながらきゃらしょうかいし、バルに辿り着くまでの流れがテンポも手際も良くて引き込まれました。登場人物も出会い系の相手と待ち合わせするエロい感じの美女にパソコン類に詳しい髭面、元刑事に下着のビジネスマン、ギャンブルやめれないおばさんにバルの肝っ玉女店主と気のよさそうなぽっちゃり店員とやたら聖書の言葉を唱えるホームレスと皆キャラ立ってます。
店の外に出た客二人が相次いで射殺され、店の外に誰もいなくなってからは店内を舞台に会話劇を主体にした密室劇になっていきます。副題の狙撃手は姿を現すことなくそこまで作品の中で大きな要素ではありませんでしたね。店から出さない道具立ての一つという感じで。
密室劇になっていきますが、客の中にテロリストが紛れててそれで狙われてるかもと疑心暗鬼になっていく中でやたら怪しい行動取る奴が出て来てひと悶着あったりと結構動きがあるので飽きずに見れます。射殺された二人の死体と血の跡がいつの間にか消えてた時点で「実は全員死んでたオチじゃないだろうな…」と疑いましたがそれは無かったですね。しかしパニックになってたとはいえ店内の誰にも気づかれずに外の死体と血の跡消すとは仕事早すぎ。
中盤過ぎからパンデミック物の要素も入れて来て、感染者に触った者と触ってない者で対立したり、地下の貯蔵庫に舞台が移ったりと、話が動き続けて何処に向うか予測できず中々目が離せませんね。
うんこ水流れる下水へ降りる為、ヒロインが下着姿になって滑り良くするためオイル塗れになるマニアックなエロ描写出てきます。皮膚削られながら排水口下る所もちょっと痛々しさあって良かったです。下水道の水に頭から落ちたり潜ったりして汚いは汚いですが、他の似たようなシーン出てくる作品と比べるとそこまで汚さは感じなかったかな。
終盤は下水道舞台に4本しかないワクチン巡って生き残った登場人物が争いや殺し合い繰り広げますが、やたら聖書の一説叫んだり揉める皆を楽しげに見てたホームレスイスラエルの「漂流教室」の関谷ばりのブチ切れ具合は良かったですね。こいつのおかげで終盤ほぼホラーになってましたし。髭面ナチョも危うい所見せたりしましたが、最後は男気見せましたね。ギャンブル中毒トリニも結構なやらかししたけどその後ああいう行動取るとは…もう疲れちゃったのかな。ぽっちゃり店員サトゥルの「話すのが嫌な気分の時でもお客に話しかけ続ける。それが大切な事だと思うから!」という台詞は結構グッときました。
最後射殺エンドになるんじゃないかとハラハラしましたが…
閉鎖空間を舞台にしながらも場所を色々と変えてシリアスな中にユーモアを交えながらどう決着つくのか最後の方まで予測できず非常に楽しめました。