フジタジュンコ

クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的のフジタジュンコのレビュー・感想・評価

3.2
ジャンル的にはシチュエーションスリラー、ではあるが、イグレシア監督作品なので一筋縄ではいかず、いがみあい罵りあう人間関係(8人いるけどみんなキャラが立ってるのは素晴らしい)はもはやコメディ。絶望をコミカルに見せる表現がむちゃくちゃうまい。潔癖症の人ならショック死しかねないバルのトイレや地下室、下水道の描写にも気合が入っている。未知のウイルスに右往左往するさまはコロナ禍を経た我々にはもはや笑えないのではないか。

トロッコ問題に通ずる「誰が助かるか」という揉めごとはわりと楽しかったのだけど、ホームレスのイスラエル(←役名。聖書のような箴言を告げるのにこの名前、そのまんまやんけ)のやることなすこと言うことがとにかく不愉快で…これはそういう役回りなので成功してるんでしょうが…

ラストも皮肉なままで、せめて下着姿でオリーブオイルに濡れて格闘したヒロインにカタルシスを与えてあげてほしかったな…という気持ち。あと絶対破傷風に感染してるから病院行ってくれ。