大道幸之丞

火花の大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

火花(2017年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

東京は役者、バンドマン、今ならお笑いなど夢を追う若者が毎年大量に上京してくる都市だ。そんな「上京若造あるあるカテゴリ」の映画。

一度でもお笑いに挑んだ事があるものには共感すぎる描写が多い。ロジカルに考えてもすぐ行き詰まり、客の質のせいにしてしまいがちだが、内面ではそうではない事を自分自身がよくわかっているという苦悩。

「お笑いをやっている」というだけで周囲に得体の知れない女達が集まってくる。しかしあくまで利用する対象であり溺れる事はない。ただし根がまともな奴は30才前辺りに「結婚」やそのための「諦めて就職」という「世間的な幸福」に苛まれる場面が必ずある。お笑いをやって「世間に認められたい」思いは「就職し世帯を持って世間に認められたい生き方」と常に並走しているものだ。

難をいえば西側の人間と東側の内面とロジックは全く別で本作は西側のメンタルだ。東北を含む東側の人間ならドラマにすらならないほど地味になるだろう。他人事で観れる者と当事者として観る者も所感は全く別物だと思う。

他の人も書いているがこの二人は顔が良すぎる。このルックスなら他の道へも容易に選択できてしまうだろうからそこはリアリティに欠けている。

エンディングの『浅草キッド』は合わないと思う。該当する曲が現状これしかないのだろうが、キャスティングがこれだけ豪華なのであれば、映画用に「今の世代用の“浅草キッド”的な曲」を創るべきだった。千載一遇の好機を逃したと思う。

またこの原作は漫才師が主人公だがコメディではないのだから監督を芸人にするする必要はなかったと思う。その分ドラマ版のほうが原作に近い。