みてべいびー

きみの鳥はうたえるのみてべいびーのネタバレレビュー・内容・結末

きみの鳥はうたえる(2018年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

ほろ酔いでちょっと人恋しいときに観るとドンピシャな映画。好きだった。
何事にも真剣にならない、ふわふわ生きてるような人が必死になる姿ってこんなにいいもんかなぁ。執着もしなければ、人の何かを変えようと干渉もしない。全部あるがままに受け入れて、環境も会話も何もかも彼の体をすり抜けていくみたいだった。「僕」本人の言葉で言う「空気みたいな男」そのもの。自分が束縛を嫌う分、他の人にもしないんだろうな。自分の感情を自分でも気づかないくらい奥に葬ることで、人の自由を奪わないようにしてるというか。きっと自分の感情に左右されることさえ、この人には煩わしいんだろうね。だから時々何考えてるかわからないように見えるし、それが佐知子を不安にさせた。それでいて結構漠然とした欲望には正直だし。その彼のつかみどころのない人となりが、余計に魅力的に映ったりする。
これ本当役者が揃ってるなぁ。柄本佑の演技今まであんまり観たことなかったけど、冒頭の歩き方と石橋静河とのやり取り観ただけで虜になった。自然体なのはもちろんだけど、静かなカリスマ性も感じたし、それでいて親近感もある感じ。すごい人だね、なんか演技観て圧倒されたの久しぶりだった。
石橋静河は綺麗だし、友達にいそうな雰囲気もあるから非常に好き。石橋静河って名前がすでに美しい四字熟語みたい。ずっとバレエやってた上に、カラオケの場面で歌まで上手くてびっくりした。
染谷将太もまたつかみどころのない役だけど、強い倫理観みたいなものがあることはすごく感じた。でもそれに上手く対応できてないというか、自分を曲げてまでそのモラルには添えない自我もある人。自分に甘いって言ってしまえばそれまでなんだけど、内省的な人でもあるから責めれない感じ。
コンビニでお酒買ってふざけながら帰る場面と、ビリヤードとクラブの場面が好きだったな、三人の距離感がリアルで。あと撮り方がよかった、音は聞こえてるけどフレーム内には映ってなくて、流れの中で何してるか徐々に見えてくる感じ。焦ったさも感じたし、水面下の心の動きを表してるようにも思えた。
最後「僕」が走り出して佐知子を呼び止める声を聞いて、題名の意味がわかった気がする。
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