くりふ

大人のためのグリム童話 手をなくした少女のくりふのレビュー・感想・評価

3.5
【グリムを借りた現代のおはなし】

この絵で76分はキツイな…と思ったので、今回レンタルにて。

みたら、絵的には意外と緻密な設計で、大画面でよかったかもだが、時間的には飽きるな、と思った。

極力少ない描線で世界を組みあげ、透明レイヤーという、デジタルならではの手法で効果を狙う…基本的には、こうしたアニメの挑戦は大歓迎。だから基本的には面白かった。

監督は『かぐや姫の物語』の影響をそうとう受けたらしい。一目瞭然だけど、自分なりの手法には変換してありますね。

面白かったのは、主人公の娘が、いきものとして実に生々しく迫って来ること。実体が映らないこのアニメにおいて、これは見事な創造力だ。娘はセクシャルでさえあって、ときどき、ドキドキしてしまう。そこが、唯一一番の魅力。

この娘の体臭を追うだけで、物語につき合えはするのだが、やっぱり展開、締まりが悪い。極論、『まんが日本昔ばなし』の一篇に収めるくらいの密度でいいはずの物語でしょう。グリム原作と変えているところは、良し悪しありました。

タイトルにもなっている、なくした手については、ラストでこけた。…トカゲのしっぽか!そうなるためのエピソードに厚み要ると思うよ。キリスト教の影響を極力排除したところは、現代的で好感持てました。

で、やっぱり思ってしまうのは、日本がこういうアニメを積極的に受け入れる、真のアニメ大国になって欲しいなあ、ということでした。

<2019.2.26記>
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