トンベリ

大人のためのグリム童話 手をなくした少女のトンベリのレビュー・感想・評価

4.3
川は全てに繋がっている


物語が動き出してからは、終始呼吸を乱されるフランスアニメでした。


クリプトキノグラフィーという独自の技法で、監督が一人で描かれたみたいです。
粗い水墨画?のようなタッチのアニメ作品。
前面の背景を透過させて奥行きを感じさせるテクニックは、かなりイイです。

確かに斬新で個性的な手法に初めは新鮮味を感じますが、"動く紙芝居"って感じなので、コレで75分はちょっと長く感じるかな~と目が慣れてきてからは少し退屈だったんですが、悪魔が現れた辺りから感情が揺さぶられまくりでした。

実写でやっても多分そこまで衝撃はないでしょう。
こういう作風だからこそ、残酷描写が映える。恐ろしい。
次々と彼女に襲い掛かる不幸と束の間の幸福は、まるでジェットコースターのように・・・・いやジェットコースターはちょっと言い過ぎたな。すみません。

「VS 狂犬」観たときもそうだったんですが、ハンディ抱えた少女にはかなり感情移入してしまうみたいです、自分。

子供が生まれてからも、手がない状態で必死に子育てする少女の、生き抜く生命力にとにかく心打たれて、幸せになって欲しいと最後までハラハラドキドキできる1本です。


"唇に触れて 手より温かいから"
こんな詩的な表現がグッと心にくるのも、こういう作風ならでは、ですね。

最強は庭師で、親父はKUSOです。
トンベリ

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