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大人のためのグリム童話 手をなくした少女のHKのレビュー・感想・評価

3.4
実は残酷だと有名なグリム童話のひとつをアニメ化した作品。
色のついた水墨画を思わせる独特のタッチですが、80分間のアニメーションを監督がたった一人で1年かけて作画したとか。
もう最初からハッピーエンドなんて無さそうな暗い雰囲気。

“手なし娘”というタイトルでも知られるこの話は以前読んだことがあるような、無いような。
いわゆる悪魔との契約の話ですが、全体の記憶はハッキリしないものの、出征中の夫との手紙の内容を悪魔が書き換えるあたりはどうも聞いたことあるような。
似ているだけで別の話かもしれませんが。

キャラクターは全て筆描きのシンプルな線画で、絵も動きもかなり雑なようでいながらちょっとした身振りがリアルで、それらしく動いて見えるから不思議。
少女の手が斧でぶった切られたりと残酷な話だし、性愛や生理現象の描写もきわどいのに、本国では年齢制限も無く普通にTVで観れるという、さすがフランスのお国柄。

アッケラカンと母子が並んでウ〇チするシーン(ツレ〇ョンならぬツレ〇ン?)に!!!
以前、宮崎駿作品の女の子(当時はラナやナウシカやシータ)はウン〇もシッ〇もしないと言われて、宮崎駿がついに『魔女の宅急便』でキキがトイレから出てくるシーンを入れたという話を思い出しましたが、そんなレベルではありません。外で並んでウン〇ですから。
でも遠目だし全然汚くないどころか、むしろ清々しささえ感じます。

主人公の女性キャラならではのリアルな描写に、この監督は絶対に女性だと思ったら、意外にもセバスチャン・ローデンバッハという男性でした。
それにしては女性の生理描写が細かすぎますが、同じく映画監督をしている奥様がいるらしく、その奥様の全面的協力があってこその作品なのではないかと思ったりもしています。

この監督はアニメ作家として高畑勲を最も尊敬しているらしく、フィル友の湯っ子さんが本作を「かぐや姫の物語」ヴァーホーヴェン風味と評していましたがまさにそんな雰囲気。

ローデンバッハ監督は日本のアニメーションのファンと言いつつも、自然が写実的にリアルに描かれた作品が多いのが疑問らしく、それだったら実写作品にすればいいという意見。
程度の差はあれ、これには私も同意で、アニメであまりに実写じみた背景だとキャラが浮いてしまって違和感しかありません。やっぱりキャラと背景が馴染んでないと。
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