みーちゃん

マザー!のみーちゃんのレビュー・感想・評価

マザー!(2017年製作の映画)
4.5
私は好き。これからも、また観ると思う。

聖書や宗教観のメタファー、環境問題の提起などについては、色々考察されているし、勿論興味深いけれど、シンプルに、ある夫婦のドラマとしても引き込まれた。あの家で起きた出来事や成り行き、夫をはじめ訪問者達と交わす会話や抱く感情に、何かしら覚えがあり共感する部分もあった。

◇ここから本編に触れます◇

例えば、弔いの夜、いつの間にか自分だけが部外者になっているあの感じ。ミシェル・ファイファーに服装の事を指摘されてハッとするあの感じ。何とも言えない気持ちになるから、巧いなぁと思う。そして全てのエピソードが、本当は感じる必要がないはずの自己嫌悪みたいなものに繋がる気がして、ますます巧いなぁと思う。

ラスト。黙って持ち去るのではない。奪い盗られるのでもない。目を見て静かに「欲しい」と言われ、了承を求められるのだ。そして、それを、自ら差し出し、抜き取られる私。
…何と言えばいいか、自分の中で、恐ろしいほどイメージすることができ、心と身体の奥深い所が刺激される。

この世界観に、重厚さと真実味を与えるプロダクションデザインも素晴らしかった。