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ハウス・ジャック・ビルトのmitzのレビュー・感想・評価

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
4.0
変態ラース・フォン・トリアー監督の描くシリアルキラー作品です。強迫性障害と潔癖症を持つ殺人鬼ジャックをマット・ディロンが怪演しています。
5つのエピソードから構成される別々の殺人録。それらと併行して、謎の男ヴァージとの対話から一人称としてジャックの狂った死生観が炙り出される演出になっています。
被害者たちの死体を冷凍倉庫に収集し、自分の殺人は最高級ワインを作るための腐敗や、崩壊して初めて真の美しさに達する廃墟のように、善悪を超越した芸術行為と信じ、湖畔の土地に理想の家を建てては壊すことを何度も繰り返す姿を通じてジャックというキャラクターの異様な魅力が描かれています。
またそれらの表現力も背筋の先端までビリビリするような衝撃的な場面が幾度と続くほど、「ノーカット版」というキャッチコピーは決してブラフではありません。
そしてラスト30分は全く異なる作風へと変貌し、(他の作品同様)現実味のない理解困難で概念的な場面の連続からカットインで訪れるラストシーンまで圧巻です。エンドロールの"hit the road jack"も印象的。

まさにラース・フォン・トリアー作品!
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