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ハウス・ジャック・ビルトのバロウズのレビュー・感想・評価

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)
3.7
ヒトラー擁護発言で世界中を敵に回したラースフォントリアー監督の、ある意味贖罪のような映画だった。ブルーノガンツをキャスティングしたのも意味有り気。

凄惨な殺人シーンの合間にゴシック建築様式の解説やらグレングルードのピアノ演奏やダンテの神曲など蘊蓄を挿入して芸術映画な構成になってますが、グロ、ブラックユーモア、悪趣味ギャグ盛りだくさんでなかなか楽しめた150分。
最初の犠牲者となるユマサーマンが本当に嫌な女で、ジャックがジャッキでガツンとぶん殴ってくれた時は拍手しそうになってしまった👏

残酷描写はかなり気合い入ってますが、スプラッター映画みたく「この特殊メイクすごいでしょ!」と見せつけるのではなく、さらっとグロ死体を映す感じがリアル。
死体を車で引き摺ってすり下ろしちゃったり、冷凍庫でカチコチに凍った死体で写真撮影するシーンはもはやギャグですが、
死体とピクニックしてみたり死体を無理矢理笑顔にしてみたり、アヒルの脚をちょん切ったりするシーンは流石に笑えなかったしハリウッドじゃ絶対作れないと思った。

血痕が残ってないか気になって何度も殺人現場に戻って掃除しちゃうとか、強迫神経症あるあるな感じは面白かった。
監督自身が様々な恐怖症を患っているとのことで、エンディング曲の「出て行け!ジャック!」は自虐にしか思えないし、むしろこの曲の為の盛大な前振りだったのでは?と感じさせる作品でした。
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