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50年後のボクたちはのAZのレビュー・感想・評価

50年後のボクたちは(2016年製作の映画)
3.7
期待していたがちょっと物足りない作品だった。それはテンポの問題で、展開が早い為互いに仲を深めていく描写があまり映し出されていなかったのが原因。


ジュブナイル系作品。『スタンド・バイ・ミー』感。ノスタルジックな気持ちにさせてくれる作品。大事なことってなんだろうと。

とにかくチック役のアナンド・バトビレグ・チョローンバータルのインパクトが強い。今作がスクリーンデビュー。どこの子かと思ったらモンゴル系のミュンヘン育ち。役のためにこの髪型にしたのかな?このチックの破天荒さが、ストーリーを作っていく。

主役のマイクはクラスからは除け者にされ、何事もなかなか行動に移せない。そんなマイクを強引に引っ張っていくチック。良くも悪くも自分の欲望に忠実な彼。だからこそ悪いことも起こる。そんな彼に振り回せれながらも、様々な出会いと別れ、経験を通して成長していくマイクの姿が描かれる。

途中で出会うイザも破天荒。めちゃくちゃな風貌と性格にたじろぎながらも惹かれていくマイク。泉で体を洗う時なんか、裸になることを厭わない。自由奔放で大胆。決定的だったのがイザの髪を切ってあげるシーン。普通の人でも女性の髪を切る経験なんてないのではないだろうか。マイクのドキドキが伝わってくる。表出するイザの美貌。そしてイザはマイクを誘う。

そんなイザだが、別れは唐突で出逢ったと思ったら呆気なくプラハ行きのバスで去ってしまった。別れの際はマイクにキス。大人のどこか余裕のある振る舞いにすっかり惹かれてしまったマイク。一生頭から離れないだろう。

様々な経験をした夏休みが終わり学校に登校してみると、クラスメイト達はどこかつまらなく子供っぽく見える。それもそのはず、あんな経験をしたマイクは一歩も二歩も成長しているのだから。そして去っていったチックとイザを思い、時が進んでいく。

全体的に出会いと別れがあっさりしていた。だからこそ互いに心を通わせていく過程が物足りなく、別れの喪失感は薄かった。子役達の演技も関係していて、表情はどこか硬く心ここに在らずといった感じで、役に入り込めていなかったように思う。それに対して、やはり経験豊富なイザ役のメルセデス・ミュラーの存在は輝いていた。

様々な出会いと別れが描かれていたが、ちょっと唐突な感じもした。ただ、人と出会い別れるってそういうことかもな。チックの同性愛者という部分は、中途半端だったように思う。ただ、だからマイクとイザの関係を暖かく見守っていたのかなとも思う。

彼らが旅する風景も魅力的で、自分もいつか行ってみたいと思わせてくれる作品だった。

100年後は生きていないだろうが、50年後はどうだろう。そして何をしているのだろうか。何かを成し遂げているのだろうか。メルセデス・ミューラーの美貌でちょい加点。
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