むさじー

50年後のボクたちはのむさじーのネタバレレビュー・内容・結末

50年後のボクたちは(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

<不良と変わり者少年が突っ走るひと夏の冒険譚>

マイクは、酒浸りの母と、若い愛人に走り家庭を顧みない父と共に暮らし、学校では変人扱いされ、やり場のない息苦しさを感じている。
そんなマイクが、風変わりな転校生チックに誘われて旅に出て、正体不明の少女イザに出会う。
二人とも詳しい背景は描かれていないが訳あり感満載の存在だった。
三人の際立ったキャラが実に魅力的である。
マイクがチックやイザから学んだことは“依存しない”ということか。
自立した存在を目の当たりにすることはやはり眩しく、影響は計り知れない。そんな思春期の少年の成長譚である。
両親が抱える問題も、自分とは距離を置いて見られるよう吹っ切れ、憧れだったマドンナへの思いも一途なものではなくなっていった。
盗んだ車で無免許運転、飲酒に喫煙、農作物を荒らし、他人の車から燃料を盗むという悪さの限りを尽くす暴力的な展開だが、不思議と不愉快な気持ちにならない。
子どもの悪行ということもあるが、ベースにコメディのノリがあることが大きい。
決して肯定される行為ではないが、痛快であり、カタルシスにたどり着く。
同監督の翌年の次作『女は二度決断する』はハラハラドキドキの社会派サスペンス+法廷劇。
型にはまらない、この振り幅の大きさには目を見張るものがある。
むさじー

むさじー