diesixx

Black Girl(英題)のdiesixxのレビュー・感想・評価

Black Girl(英題)(1966年製作の映画)
-
セネガル映画の古典的傑作として一部で知られていたが、この数年の映画史観のダイバーシティ化において急激に注目度が高まっている作品。クライテリオンのナンバリング852に登場した。
セネガルでフランス人夫妻の子守をしていたブラックガール・ディアナが、夫妻に誘われるまま渡仏を果たす。憧れのフランスでの生活に期待で胸を膨らませていたディアナだったが、待っていたのは経済的奴隷生活。服装を指定され、家事全般を任され、外出も許されず、客に見せ物のように扱われる。不満を吐露しようにもディアナはフランス語を話せず、字も書けい彼女には意思表示の手段すらないのであった。
閉塞的なフランスでの生活と、渡仏に至るまでのセネガルでの暮らしを交互に見せていく形式。子守の仕事が決まったり、フランス行きが決まった時にと無邪気に喜ぶ姿が切ない。ディアナが「フランス!フランス!」と浮かれながら追悼碑の上で飛び跳ねているのを、ボーイフレンドが慌てて制する場面。追悼碑には「祖国のために死んだ者たち 1939〜1945」と刻まれており、おそらく植民地時代の第二次世界大戦中にフランスのために戦い犠牲になったセネガル兵たちを悼むためのモニュメントで、この後のディアナの顛末を思うと、痛烈に皮肉として機能している。
字を書けないはずの母親からの手紙、夫妻とディアナ一家を行き来する仮面など「支配する/される」者同士の残酷な断絶がさまざまなモチーフに込められていて唸る。
diesixx

diesixx