りょう

オールド・ボーイのりょうのレビュー・感想・評価

オールド・ボーイ(2003年製作の映画)
4.4
 当時は劇場で観てブッ飛びました。原作が日本の漫画だということもあって、「日本の映画業界は何をやっているのだろう?」という感じでした。もう10年以上は追いつけないだろうと…。
 あの頃の韓国映画は、1999年の「シュリ」が強烈だったので、パク・チャヌク監督も「JSA」のような南北の政治的なテーマのイメージでした。この作品は、その「シュリ」で妙にカッコいい北朝鮮の特殊工作員を演じていたチェ・ミンシクの独壇場ですが、一部は直視できない壮絶な復讐劇です。
 監禁施設の廊下で数十人を相手に格闘するワンカットのシーンが圧巻です。チェ・ミンシクがはっきり疲労しているのに、エレベーターからさらに援軍が加勢してきて…の展開もいいです。
 15年も監禁されて、自分の人生を奪った相手に復讐する中年男性オ・デスが主人公ですが、実は自分が復讐されていたという物語です。その相手であるイ・ウジンの復讐の動機が完全な逆恨みでしかなく、そこまで巧妙かつ長期的な犯行は、何かにとり憑かれていなければできそうもありません。莫大な資産もあってのことでしょうが…。
 エンディングのオ・デスの表情が意味深で、どちらにも解釈できそうですが、個人的にはバッドエンドだったと思います。物語そのものに奥深いものを感じませんでしたが、エネルギッシュな映像とカメラワーク、綿密な復讐の展開をわかりやすく脚色・演出したパク・チャヌク監督の才能に圧倒されます。
 これが2作目となる“復讐3部作”はどれも面白いんですが、2009年の「渇き」から凡人には理解できない変態チックな作風になり、最新作の「別れる決心」で次のフェーズになった印象です。初期の傑作には間違いないです。
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