ウシュアイア

ピザ!のウシュアイアのレビュー・感想・評価

ピザ!(2014年製作の映画)
4.2
南インドの大都市チェンナイのスラムに暮らす幼い兄弟が、遊び場にしていた空き地にピザ屋がオープンし、食べるのに自分たちの稼ぎの1か月分が必要なピザを食べようとお金を貯め始める。そのことが大きな騒動に発展していくというお話。

インド映画というと長時間のミュージカル映画の印象が強く、苦手という人も少なくないが、本作はミュージカルもダンスもない90分強の作品なので気軽に観れる。

主人公がスラムの子どもということで、当然貧富の格差の問題も取り扱っており、重たくならないようにハートフルコメディに仕上げたもので、こういった作品はインドのみならずよくある作品と言えばよくある作品。

しかし、インドが舞台ということで、インド特有の社会構造や警察や行政の腐敗の風刺という要素に、我々からすれば些細なことで大騒ぎする国民性が加わり、着地点への道筋はまったくもって予測が難しい作品だった。

お金があるなしに関係なく家の近くに見たこともない高級なレストランができれば入ってみたいと思うだろうし、子どもが内緒で貯めたお金を見つければ親は悪いことをしていないか不安になるし、おばあちゃんはお金がなくても孫の願いをかなえてやりたいと思うし、随所に貧富関係なく普遍的に共感できるポイントが多い。

ちなみにチェンナイは10年ほど前に行ったことがあるが、インドの大都市の中でもきれいな方で食事も米中心でにおいしかった覚えがある。映画の中でも出てくるサンバル(豆と野菜のスープカレー)は毎日食べられる(っていうか、ホテルのモーニングビュッフェに必ずある)くらいおいしいし、米粉のクレープのようなドーサもココナツミルクのシチューもおいしい。ここ10年で東京の南インドの料理店はかなり増え、上記の料理もここ10年で気軽に食べれるようになったが、南インドはコロナが終息したら行きたい場所の一つだ。
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