延々と歩く

この世に私の居場所なんてないの延々と歩くのレビュー・感想・評価

3.4
 アメリカ製のダークなバイオレンス・コメディ。さえない生活をおくる主人公が、祖母の形見を盗まれてから段々おかしくなっていく・そのうえ更にオカシイ友人までできて完全にイッてしまうお話。

 みる価値はあるけど佳作までいかない面白さ、かな。

 いかにも「映画にでてくるアメリカの地方都市」やった。大都会よりは平穏なのかもしらんけどビミョ~に汚くてビミョ~に治安が悪い。車をちょっと走らせただけでみつかる明らかにヤバい奴しかいない家とか、明らかに盗品あつかっちゃうお店とか、日本だとちょっと考えられない・あったとしてももう少し奥まった感じやないでしょうか。

 熱心なミステリーファンとかじゃないからトントン拍子で進むのはいいとして、しかしそれでも脚本の甘い感じは気になる。映像は衰退していくアメリカの屈託みたいなものを救い取って見事だった。

 キャスト陣では脇役たちがそんなに、なんだよな~。さすがに主演のメラニー・リンスキーは頭二つ分くらい抜けてる。最近よくみるしここら辺から売れてきたんでしょシネフィルだから分かるわ~とか思ってたらそもそも映画デビュー作がピーター・ジャクソン監督「乙女の祈り」だと知ってひっくり返ってしまった。IMDbの紹介動画?をみてもとても立派なキャリアである。

 これ以降は「『普通の人』を演じられる女優」っぽさが強くてちょっと引いてしまうのだが、本作だといい感じに可愛い。

 「ロード・オブ・ザ・リング」で有名なイライジャ・ウッドも凝った演技を披露している。見た目はヤヴァいのに怒られてすぐ反省しだすキャラが面白かった。

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 ネットフリックスに初めて加入して、色々探すうちにぶつかった作品だけど懐かしい~と思った。ネットフリックスが自社コンテンツを制作・ヒットさせ始めたのが15年くらいというから、日本ではまだそんな広がってない時期という事になるし、個人的な体感でもそんな感じ。

 サンダンス映画祭で審査員賞を得たあとに配信したというから、普通?に制作された映画をネットフリックスが買い取ったという形なのだろうか。カンヌ映画祭とネットフリックスが揉めるちょっと前のこと…と思ったら同じ年(2017年)だった。
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