こうん

Guy and Madeline on a Park Bench(原題)のこうんのレビュー・感想・評価

4.1
ハーバード大の映画オタク青年と音楽バカ青年が、映画とジャズを絆に作り上げたまことに初々しい処女長編映画。
後年の「ラ・ラ・ランド」の萌芽がここにある。
もちろん作ったのはデイミアン・チャゼルとジャスティン・ハーウィッツ。

物語はボストンを舞台とした一組の男女の青春の一幕。
モノクロで手持ちカメラを多用したルックスは、まるでマンブルコア派のようなんだけど、露骨に吹きまくるリスペクトの風!

まるでゴダール「はなればなれに」とカサヴェテス「アメリカの影」を正しくミックスしたかのような、ジャズミュージカル青春映画。
「はなればなれに」は青春犯罪映画の中に、ミュージカル的な音楽との親和性を試した映画だし、「アメリカの影」は即興演出で物語を紡ぎながらそのサウンドトラックにチャールズ・ミンガスを採用した先鋭的な映画だったけれども、まぁ恥ずかしいくらいにゴダール/カサヴェテスしているんだ。映画の学校では「真似しちゃダメ!」と教えられるのに、それを見事にやってのける胆力と、独立した映画としての魅力に昇華する聡明さ。
なにより映画を作っている喜びみたいなエモーションに溢れておる!

タップ!トランペット!タップ!トランペット!のカメラ・パンの連打は、「セッション」でも「ラ・ラ・ランド」でもやっていて、思わず笑ってしまった。好きなんだね。
とにかく観ていてうれしくなる映画でした。

この長ったらしい原題をどういう邦題にするのか知らんけど、日本でソフト化してほしいです。
(なんなら劇場公開を!)
こうん

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