都麦

赤線地帯の都麦のレビュー・感想・評価

赤線地帯(1956年製作の映画)
4.0
撮影期間、一時帰省。ごめんみんな、どうしても映画が観たくて、、。

あまりのリアルさ、生々しさにお手上げ。法は誰も守っちゃくれない。売春宿が「社会福祉」と胸を張れる世の中はある種今も変わらず。売春婦が男を騙すしか生きる術がないことも、騙されるおじさんが存在することも、騙されたのち憎しみが暴力へと切り替わることも、変わらず。

一度も悪さをしていない、盗みすらしていない、まっとうに生きてきた。それでもこうして生きていくしかない。赤ん坊にミルクも買えやしない。
これも、今も変わらず。

いったい社会は、政治は何を見ているのだろうか。
SEX奉納システムが罷り通ってしまう、性犯罪が“笑い”になる、こんなに疲れる世の中で、だれが生きていきたいと思えるのか。

この映画が50年前に撮られているのに、2023年の今、苦しみは減らない。増えたのは税金とプラスチックゴミだけ。

溝口健二、複数人のシーンの引きのマスターショットがあまりにも完璧。こんなに上手に人を配置するか。是枝裕和の『万引き家族』以来の“引き絵”のギッシリ感。大好きなそれだった。
音楽の使い方もなるほど。
都麦

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