溝口監督独特の長回し。
報われることのない女性たち。
それでも力強く生きていく女性たち。
同時に落ちていく女性たち。
誰もが皆表面的には金を稼ぐことを目的としているが、それぞれに見ている夢がある。
その夢から覚めたものがいく先が精神病院。
日本が貧しかった時代。
売春は社会事業だという一言が繰り返される。
戦後の混乱期から時代が変化する中でいつも翻弄されるのは市井の末端の民衆なのだろう。江戸っ子言葉や赤線地帯、長屋建築など隔世の感がある。
溝口映画の長回しは流麗と表現されるが、個人的に気合をいれてみないとどうしても冗長で退屈に感じてしまう。
カメラが三人称視点のため見ている側が観察者のような印象が強いため入り込みずらい。
だがこの長回しが
綿密に作り込まれた世界観と相まって溝口映画=客観的観察系映画というのを成り立たせているのだろう。