アンドレア・ライズボローってトム・クルーズ共演の「オブリビオン」ですごい透明感のある美女を演じてたんだよね!
同一人物とは思えない…
「ポゼッサー」もだけど、不思議な魅力のある人だなー!
なんかサイコな雰囲気を醸し出してる映画だけど、そう思って観てガッカリって言うレビューが多いので出来るだけ先入観持たずに鑑賞。
凄く好きな映画だー!
わたしも高齢の母(しっかりしてます)と2人暮らしだから、あんな風になったら…って考えちゃう。
貧しくて頼れる親類もいなくて、パーキンソン病のこ煩い母親と2人暮らしのナンシー。
生活保護も申請中で、歯医者での派遣の仕事で僅かばかりの生活費を稼ぐ日々。
嘘で固めたブログに同情してくれた男性と会って、でっち上げの話しに共感してもらって、その時だけちょっとした人との繋がりを感じて満足してるような35歳。痛い…けど、彼女の過去はどんなものだったんだろう…
思いもよらぬ母の突然死で、自由になるどころか、彼女に訪れたのは完全な孤独。
TVで裕福で高齢の夫妻が30年前に行方不明になった娘の話しをして、35歳になっているはずの娘の合成写真が映し出される。ナンシーにそっくりな顔。
彼女は、自分が誘拐された夫妻の娘かもしれないと直接夫婦の家に電話して申し出る。
彼女は、何を求めて、そんな行動に出たんだろう。
最初から、嘘で夫婦を騙そうとしたとは到底思えなかったな…
一か八かの大嘘と言うより、もしかしたらと言う本当に僅かな希望の光に縋ったんじゃないかと思える。
死んでいるのかも生きているのかも判らない愛する娘が、何処かで生きていて欲しいという親の願い。
自分が誘拐された裕福な夫妻の子供であったらと願うナンシーの思い。
ナンシーの嘘はひと時現実から逃れる為の嘘で、人を傷つけようとは思っていない。結果傷つけてしまうこともあったけれど…
表情をクローズアップで映すシーンが多くて、とても繊細な演技が求められる映画。
30年と言う長い年月死んだことが明らかならまだどこかで諦めもつくだろうけれど、生きていていつの日か再会できる奇跡を待ち望んできた夫婦の気持ちが痛いほど分かるな。
ナンシーが本当に行方不明の娘であって欲しい!そうでないと判るまでは、その希望に縋りたい。夢でも構わないから…
一方、そんな夫婦と接して、尚更に自分がこの夫婦の子供であるようにと強く願いながらも、心ではそうでない事を解っているナンシーの思い。
この映画の結末は、決して後味の悪い物でなく、むしろそれぞれが求めている物を得てより確かな希望を掴んだ結末のように思えた。
これは時々見返したくなる作品になりそう。