SY3KR

ナンシーのSY3KRのレビュー・感想・評価

ナンシー(2018年製作の映画)
3.0
北朝鮮を主題にしたドキュメンタリーなどで評価を高めたクリスティーナ・チョーが、初めて長編監督を務めたサスペンス。

共感性羞恥持ちの方は見ているのがかなりシンドイので、注意してほしい。自分を着飾るために嘘をつきまくるナンシーの姿があまりに痛々しく、目を覆いたくなること必至だ。

このナンシーはかなり独特なキャラクターで、嘘をつきすぎて既に罪悪感のかけらもない。それがアイデンティティの一部と化しており、自分が嘘をついているという実感もないに等しい。しかし、嘘がバレると必死に自分を取り繕い、上手くいくと卑しい笑みを浮かべる。

これを演技派女優のアンドレア・ライズボローが抜群のパフォーマンスで演じるから、たまったものではない。ナンシーの境遇にやや同情する部分はあるが、彼女の卑小さがあまりにも生々しく浮き彫りになるから、どうしても嫌悪感が先に立つ。

本作はナンシーのような存在にも無償の愛が注がれる可能性を説くが、ちょっとこのキャラクターを愛せという方が無理ではないだろうか。今回ばかりは、アンドレア・ライズボローの熱演が裏目っている気がした。

⚫︎トマトメーター
・批評家支持率:86%
・観客支持率 :54%
「本作は不快な作品だが、アンドレア・ライズボローの中心的な演技と、脚本・監督を務めたクリスティーナ・チョーの、ナンシーの危険な誤った選択に対する力強い共感のおかげで、一見に値する出来栄えとなっている。」
SY3KR

SY3KR