三四郎

中国侵攻作戦の三四郎のレビュー・感想・評価

中国侵攻作戦(1944年製作の映画)
3.0
大学の講義にて鑑賞。
さすが名匠キャプラ監督…。編集のうまさに、善悪のわかりやすさに脱帽です。
中国国歌から始まり、中国人団結のクライマックスも行進とともに民族意識を掻き立てる「前進、前進、前進、進」!日本は「独裁国家」と言われている…。中国にかなり好意的で、日本人としては見てて悔しくなるほど超単純だが、ある意味非常に興味深い。中国はかつて外国を侵略したことがない、平和を愛する国かぁ。紙、羅針盤、火薬の三大発明。航海へ出て世界征服を考えてるわけでもないが羅針盤を作り、武器としてではなく祭りの爆竹として火薬を作った…。世界の芸術、学問の宮古に日本が大砲と共に武力を持って攻撃しているというわかりやすい説明…。上海で日本軍が空からの無差別爆撃をしたことは知らなかった。日本史で学んだのかもしれぬがすっかり忘れている。一般市民への無差別爆撃は日本が初めて披露した新種の戦法と英語で解説されているがそうなのか?兵隊が中国人の頭を撃ち抜く銃殺シーン、残虐行為、負傷者、死者、道には積み重なる遺体。日本軍がいかに酷いことを行なっているか示している。これは事実であろう。私たちは真剣にこの現実、出来事を見つめなければならない。しかし、この映画の全てを「真実」であると考えてはならない。編集の巧妙さも考慮せねばならない。何故ならこれは戦意高揚のためのプロパガンダ映画なのだから。ただ日本軍が中国人に対して残虐の限りを尽くした過去と事実は語り継ぎ深く反省せねばならない。

さて、51分30秒あたりのシーンは『支那の夜』の1時間17分24秒の戦闘シーンが挿入されている。YouTubeにアップされている軍歌の映像に使用されているシーンも挿入されているので、おそらく当時の日本のニュース映画からとったのだろう。

最後にひとつ。これは現代の中国では決して見れないだろう。共産党ではなく蔣介石率いる国民党こそ、日本軍と闘った英雄として描かれているのだから。人々が振る旗も国民党の旗だ。しかもラストは蔣介石夫人がアメリカ議会で演説し拍手喝采を浴びているシーンで幕を閉じるのだから!
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