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最初に父が殺されたのryotaのネタバレレビュー・内容・結末

最初に父が殺された(2017年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

えっとですね、この手の映画はずるいんです。基本的に悪く言えないし、世界的過去の汚点について私たちは忘れてはいけないって言われたら「はいそうです!」って言うしか無いもんね。でも、娯楽映画ばかり見続けてたら、たまにはこういった映画を観てしみじみするのもいいかと。

そもそもどれくらいの人がこの映画のバックグラウンドを理解してるのかしら?昔「キリングフィールド」っていう映画を観た人なら知ってるかもですが、日本人にあまり馴染みがないんですよねおそらく。私も上っ面の知識しかありません。私なりの簡単な解釈を述べておくと(詳しくはどこぞの資料を見てください。面倒だから私が覚えていることだけしか書きません)、カンボジアのポル・ポトっていう首相が起こした国家大改革(みたいなもの)で、いわゆる中華人民共和国の毛沢東時代にあった「原始共和制」を推し進めるためにポルポト派(この人たちをクメール・ルージュっていうでしたかしら)とんでもないことを国民(確かプノンペン市民)に強制し、大量の死者を出す事態になった(詳しい人、違ってたら指摘してください)。この映画は、原始共和制に強制的に変えられるため、いわゆる個人の持ち物は全て没収され国の所有物になり、財産も持たさず一律同じ階級(もないけど)となるところから淡々と描かれてます。これがまた、2023年の日本では考えられなくらいひどくて、人権なんか一ミリもない扱いです。ある家族を通してそれがドキュメンタリタッチで描写され、さらにひどい事態に発展していく物語です。小さい子供でもなんでも銃を持たされ地雷の仕掛けを教えられ、格闘技も学ばされます。案の定、事態は最悪の方向に向かっていくわけですが、改めてこの映画はそれを淡々と、2時間16分の長さで見せつけてくるわけです。辛いっすよ結構。主人公の女の子の目線ということもあってそれほど核心の部分までは届いてないのが少しだけ救いという感じ。ただ、アップを多用して感傷を誘おうという演出意図はうーん、あまり良くなかったかな。最初に書いた「この悲劇を忘れてはいけない」のテーマは十分感じられますので、変に感傷的にならないほうがショックは大きかったかもです。

監督はアンジェリーナ・ジョリー。カンボジアの大使か何かなのかな?よくわからなけど。凄いところに目をつけて映画にしたものだなあと感心しました。ぱっと見、派手な戦争映画を想像しますが、ものすごくミニシアター的な作品という印象。壮大なドラマの割には地味目です。だからいいんだけどね。
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