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最初に父が殺されたのeco10のレビュー・感想・評価

最初に父が殺された(2017年製作の映画)
3.0
原作も読んだことがあるのですが、この映像は色々と美化されすぎだと思いました。
緑や光や風を感じさせる、感受性の高い画の多くは、原作で描かれる、閉塞感や絶望感とはあまりにも真逆すぎました。

5歳の女の子の目線で描かれるので、情勢がよく分からないながらも、希望を捨てなかったから生きながらえた、というのは分かりますが、感度高めの画でワンクッションおかれると、過酷な状況が伝わりづらくなってしまいます。
原作の方も脚本に参加しているので、そのへんの折り合いはついているのだと思いますが、ソフィア・コッポラばりのキラキラ感は、必ずしも必要ではなかったのではないかと思います。

あとは、セリフが少ないので、銃の音や野菜をもぐ音、ひとつひとつにドキリとします。
主人公の女の子の目の動きで語る場面が多く、無茶苦茶な共産主義の村社会でも、彼女の目から見た純粋な世界として描かれているところは良かったです。

優しくて大好きなお父さんの姿、家族が支え合う姿、子供から大人まで、カンボジア人の役者さんたちが素朴で素晴らしかった。
他の映画でもそうですが、カンボジアの役者さんて、何にも染まってない感じがします。
彼らの澄んだ瞳と佇まいが、静かに胸に残ります。
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