肉浪費Xアカウント復旧無理ぽ

最初に父が殺されたの肉浪費Xアカウント復旧無理ぽのレビュー・感想・評価

最初に父が殺された(2017年製作の映画)
3.9
アンジョリ男の見出した少女性と、そのつぶらな瞳に映るこどもたちを統治/強制するこどもたちのディストピア

※戦争映画ということで言わずもがなだけどかなりショッキングな映像なのでお気をつけあれ

ファンタジーでなく、仮想の戦争記でもなく、事実のカンボジアの内戦事情。
なぜならポル・ポト政権下のカンボジアのことで、国民800万人のうちおよそ200万人と1/4を減らす大虐殺政策。そしてその結果、人口比率の85%が14歳以下になってしまったと言われる事の顛末。その只中を少女一身が経験し見た世界の現実。
壮絶過ぎる事実が他人事ではないアジア国でついこの間の年月と言っていい出来事。そして見ればわかるけど遠い国のことではない。

少女の視点、この一点に絞ったアンジェリーナ・ジョリーの手腕は見事。特別な、一見違う物語に錯覚させる魔力のようなものは持っている。
特徴的なのは"つぶらな瞳"。ピュアで本当にありのままを映して見届けたような鏡のような存在として人であり、被害者であり、視聴者と同期できるような"純粋性"であり"少女性"。
戦争を戦争として映さない、よくわらない悪夢の襲来として受け入れ難き事実との向き合い方。

本当にその瞳は地獄がじっとりと後ろに迫っていても、只中にあっても、美しい映像として届けてしまう少女性を全体的に忘れないまま描いてしまうというのはこの映画での収穫か。
そんなつぶらな瞳でも生気を失い、濁ってしまうような、ただただの被害者であるようにして、こどもたちを被害者であることも許さないのがポル・ポト政権。倫理性も、良識も、根付かないうちに情報を遮断し、未開の生活と洗脳を行う"原始共産主義"。その恐ろしさは別世界のことだと逃避したいほどの恐怖。
そして見て思うのは、「他人事ではない」。
思い浮かべるのは「北朝鮮」。
隣国で似たような危機は、現状を持って、我が国も、脅威の只中。

と煽りでもなんでもない身近なことは置いといて。この少女が現実逃避の妄想や、非現実的な悪夢を見るのは理にかなっていて、ありがちな演出で必要な演出でもあるとしておきましょう。
だが、殺害現場や悲惨な情景など、その場にいないのにフラッシュバックのように画面に描写して妄想に過ぎないのに疑似体験するような演出はあまりにもクドいですよ・・・
そこがいまだアンジェリーナ・ジョリーが"巨匠"とされないチープな限界なのかも?と思ったりもしました。