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最初に父が殺されたのharukapiのレビュー・感想・評価

最初に父が殺された(2017年製作の映画)
3.5
カンボジア、ポル・ポト政権下の支配が子供の目から描かれる。
銀行も商業も私有財産もない、貧富も階級の差もないと謳いながら「オンカー」の名の下に平等ではない支配体制。集団的・組織的な暴力というのは、人を支配するのになぜこうも有効なのだろう。
主人公の女の子が辛い場面でもほとんど泣かなかったのに、逃げ惑う人々が地雷を踏んで傷ついてく様子に自分のしたことを思い返して泣くシーンが辛かった。

アメリカによる無差別な爆撃が、カンボジアにおける反米立場を強めたという情報(とベトナム兵への殺意)しか示されないけど、それがまた何もわからない人々が何もわからないままにポル・ポト政権に置かれ解放されるまでを描いていて、人々目線に立っているような気もする。相互支配を促した環境があり、明確な敵味方を分けられないからこそ、復興や和解の苦しさが今もあるのだろうと思う。
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